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労働基準監督署の調査

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労働基準監督署の調査

 

労働条件の最低基準を定めたのが労働基準法で、その労働基準法の違反を取り締まるのが労働基準監督署です。皆様は、実際に労働基準監督署の取り締まり(調査)がどのようなものであるかご存じでしょうか。

 

ここでは労働基準監督署による調査について、簡潔にではありますが解説してまいります。

調査を行う労働基準監督官は、全国で3,979人(資料:厚生労働省「平成23年度 労働基準監督年報」)います。これらの監督官によって日本のすべての事業所の調査が行われることになります。

労働基準監督官は、労働基準法に基づいて事前予告なしに企業に対して立ち入り調査(臨検監督)を行うことができ、さらに刑事訴訟法に基づき事情聴取や証拠物品押収などの犯罪捜査や逮捕をする特別司法警察職員の権限も備えています。

 

なお、臨検監督は大きく、以下の4つに分けることができます。

①定期監督  ②申告監督  ③災害時監督  ④再監督

 

原則としてこの臨検監督を拒否することはできません。

 

◇調査の種類について

①定期監督

厚生労働省では毎年「地方労働行政運営方針」を作成し、その中で労働基準行政の運営施策を発表しています。それを踏まえ各労働基準監督署で重点業種や重点事項を決定し、定期的な計画をもとに実施する臨検監督のことを定期監督と言います。その為、この重点業種や事項に該当する事業所が定期監督の調査対象になることが多いようです。

 

(調査対象となる例)

・就業規則、36協定の未提出企業 ・サービス残業が多そうな業種

・労働災害が多い業種       ・臨検で違反事項が多い企業

 

定期監督の実施件数は平成24年には134,295件の事業所(資料:厚生労働省「監督実施状況」)で行われており、そのうち違反事業所数は91,796件となっています。

 

②申告監督

従業員や元従業員による申告に基づいて労働基準監督署が臨検監督を行うこともあります。これを申告監督と言います。平成24年の申告受理件数は31,352件で、実際に申告監督を実施した件数は25,418件となっており、主要な申告事項は賃金の不払い、解雇によるものが多くなっています。(資料:厚生労働省「監督実施状況」)労働基準監督署では申告があれば必ず臨検監督をしなければいけないという義務はありません。しかし監督実施状況などを見ると、申告があった場合、迅速に調査を行っていることがわかります。

申告があった場合、あらかじめ申告監督を行うことを予告する場合と、予告をせずに申告監督を行う場合があります。予告を行う申告監督では、主に退職した従業員などから申告があったことを、事前に責任者に対して明らかにして呼び出し状による呼び出しを行い、呼び出し状には用件・根拠となる条文が記載されています。現在も事業所に在籍する従業員などからの告発が行われた場合は、予告なしに申告監督が行われます。そのため定期監督と区別がつきにくいものとなっています。

 

③災害時監督

一定規模以上の労働災害が発生した場合には、労働基準監督官が事故現場に赴き、臨検監督が行われて再発防止措置がとられます。これを災害時監督と言います。

 

④再監督

定期監督、申告監督、災害時監督などを実施し、臨検監督を行った結果、法令違反があった場合、「是正勧告書」が交付されます。また法律に直接違反していなくても改善を図る必要がある場合には「指導票」が交付され、事業所の施設や設備に不備があった場合にはさらに「使用停止命令」が交付されます。是正勧告は行政処分ではなく、行政指導になるため法的な拘束力はありませんが、労働基準監督官には特別司法警察としての権限があるため間接的な強制力があります。使用者はこの是正勧告書に基づき是正内容などを記載して、是正報告書を期日までに提出することになります。この法令違反が是正されているかどうかを確認するために臨検監督が行われることがありますが、これを再監督と言います。この再監督は是正が報告通りに行われているかの確認の他に、是正報告書の提出がない場合、労働基準監督署の呼び出しに応じない場合に行われます。

 

◇調査の際に必要となる主な帳簿、書類

・労働三帳簿(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿)

・就業規則・労働条件明示書・36協定

・年次有給休暇の管理簿・定期健康診断結果個人票

・安全衛生管理体制の選任・設置・活動記録、届出書類

またその他、法令違反があった事項に関しての必要書類が使用されます。

 

◇罰則について

労働基準監督署による是正勧告は行政指導ですが、法律違反であることに変わりありません。是正報告書などによる改善の意思が見られない場合や悪質な法違反があった場合には検察への送検手続きがとられ、起訴、罰則の処分が科されることになります。

 

(参照)

【厚生労働省 平成23年労働基準監督年報】

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/kantoku01/dl/23.pdf

【厚生労働省 労働基準監督業務について】

http://www.mhlw.go.jp/jigyo_shiwake/dl/15-2a.pdf

【厚生労働省 監督業務実施状況】

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11202000-Roudoukijunkyoku-Kantokuka/0000014641.pdf

「労務トラブル解決法!Q&Aシリーズ 臨検なんか恐くない!労働基準監督署対応と適法な労務管理」

(H25.9.15 労働調査会)

2014年10月2日 | カテゴリー:労働基準

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