◇職場のパワーハラスメントの予防・解決について
厚生労働省は、このほど、職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた取り組みを呼びかけるポスター及びパンフレット等を作成し公表しました。これは「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」が公表した「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」の内容を分かりやすく紹介したものです。
是非御社の経営にお役立てください。
■提言のポイント
- はじめに ~組織で働くすべての人たちへ~
・暴力、暴言、脅迫や仲間外しなどのいじめ行為に悩む職場が増え
ている。
・業務上の注意や指導なども、適正な範囲を超えると相手を傷つけて
しまう場合がある。
・こうした行為は「職場のパワーハラスメント」に当たり、誰もが当事者
となり得ることを、組織で働くすべての人たちが意識するよう求める。
- 職場のパワーハラスメントをなくそう
・職場のパワーハラスメントは許されない行為。放置すれば働く人の
意欲を低下させ、時には命すら危険にさらす場合がある。
・多くの人たちが組織で働く現在、職場のパワーハラスメントをなくす
ことは、国民の幸せにとっても重要。
- 職場のパワーハラスメントをなくすために
・企業や労働組合はこの問題をなくすために取り組むとともに、その
取組が形だけのものにならないよう、職場の一人ひとりにもそれぞ
れの立場から取り組むことを求める。
・トップマネジメントは、こうした問題が生じない組織文化を育てるため
に、自ら範を示しながら、その姿勢を明確に示すなどの取組を行うべき。
・上司は、自らがパワーハラスメントをしないことはもちろん、部下にも
させてはならない。ただし、必要な指導を適正に行うことまでためらってはならない。
<職場の一人ひとりに期待すること>
・『人格尊重』:互いの価値観などの違いを認め、互いを受け止め、人
格を尊重し合う。
・『コミュニケーション』:互いに理解し協力し合うため、適切にコミュニ
ケーションを行うよう努力する。
・『互いの支え合い』:問題を見過ごさず、パワーハラスメントを受けた人
を孤立させずに声をかけ合うなど、互いに支え合う。
(国や労使の団体はこの提言等を周知し、対策が行われるよう支援
することを期待する。)
- おわりに
・提言は、働く人の尊厳や人格が大切にされる社会を創っていくため
の第一歩。
・組織は対策に取り組み、一人ひとりは職場を見つめ直し、互いに話
し合うことからはじめるよう期待する。
【関連裁判例:川崎市水道局(いじめ自殺)事件】
概要 水道局の職員であるCさんは、課長D氏,係長E氏,主査F氏らから猥雑な話をされたり肥満をからかわれるなど、様々ないじめを受け、統合失調症を発症しました。その後症状は回復せず、自殺未遂を何回か繰り返した後、遺書を残して自殺しました。
裁判の結果 被告である川崎市に対し、安全配慮義務違反があったとして、国家賠償法による損害賠償として約1,062万円の 支払を命じました。 ~東京高裁判決 平成15年3月~ (東京都労働相談情報センターホームページより引用)
(最後に・・・)
職場のパワーハラスメントの予防策としては、上述のトップマネジメントの取り組みに加えて、就業規則に関係規定を定め、実態を把握し、教育~周知・徹底に努めることが必要です。また、実際に職場のパワーハラスメントが起こってしまった際の相談窓口を設置しておくことも有効です。この機会に改めて、どのような言動がパワハラになるのかを押さえていただき、より円滑な労使関係を形成していただければ幸いです。
2014年9月14日 | カテゴリー:労務管理