男女均等な採用選考ルールについて
男女雇用機会均等法は、労働者の募集及び採用に係る性別を理由とする差別を禁止し、男女均等な取扱いを求めています。また、業務上の必要性など、合理的な理由がない場合に、募集・採用において労働者の身長・体重・体力を要件とすること等は間接差別として禁止されており、厚生労働省は、男女均等な採用選考ルールについてリーフレットを作成して更なる法順守を呼び掛けています。
■男女均等な採用選考ルールについて
◎男女雇用機会均等法の募集及び採用に係る規定
※男女雇用機会均等法第5条(性別を理由とする差別)
事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。
※男女雇用機会均等法第7条(間接差別)
事業主は、募集及び採用並びに前条各号に掲げる事項に関する措置であって労働者の性別以外の事由を要件とするもののうち、措置の要件を満たす男性及び女性の比率その他の事情を勘案して実質的に性別を理由とする差別となるおそれがある措置として厚生労働省令で定めるものについては、当該措置の対象となる業務の性質に照らして当該措置の実施が当該業務の遂行上特に必要である場合、事業の運営の状況に照らして当該措置の実施が雇用管理上特に必要である場合その他の合理的な理由がある場合でなければ、これを講じてはならない。
◎性別を理由とする差別⇒違法
ア.募集・採用の対象から男女のいずれかを排除すること。
イ.募集・採用の条件を男女で異なるものとすること。
ウ.採用選考において、能力・資質の有無等を判断する方法や基準について男女で異なる取扱いをすること。
エ.募集・採用に当たって男女のいずれかを優先すること。
オ.求人の内容の説明等情報の提供について、男女で異なる取扱いをすること。
◎間接差別⇒理由がない場合は違法
ア.募集・採用に当たって、労働者の身長、体重または体力を要件とすること。
イ.労働者の募集・採用に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること。
◆公正な採用選考のために~男女差別以外に採用選考時に配慮すべき事項~
厚生労働省は、就職の機会均等を確保するために、応募者の基本的人権を尊重した公正な採用選考を実施するよう雇用主に協力を呼び掛けています。
◎公正な採用選考の基本的な考え方
募集・採用選考に当たっては、応募者の基本的人権を尊重することを基本に、
・募集に当たり広く応募者に門戸を開くこと
・応募者の適性・能力のみを基準として採用選考を行うこと
が、特に重要です。就職の機会均等ということは、誰でも自由に自分の適性・能力に応じて職業を選べることですが、この前提として、雇用する側が公正な採用選考を行うことが必要不可欠です。
◎採用選考時に配慮すべき事項
次のA~Nの事項について、応募用紙(エントリーシートを含む)に記載させる・面接時において尋ねる・作文を課すなどによって把握することや、L~Nを実施することは、就職差別につながるおそれがあります。
【本人に責任のない事項の把握】
A.本籍・出生地に関すること
B.家族に関すること(職業・続柄・健康・地位・学歴・収入・資産など)
C.住宅状況に関すること(間取り・部屋数・住宅の種類・近隣の施設など)
D.生活環境・家庭環境などに関すること
【本来自由である事項(思想信条にかかわること)の把握】
E.宗教に関すること
F.支持政党に関すること
G.人生観・生活信条などに関すること
H.尊敬する人物に関すること
I.思想に関すること
J.労働組合・学生運動など社会運動に関すること
K.購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
【採用選考の方法】
L.身元調査などの実施
M.全国高等学校統一応募用紙・JIS規格の履歴書(様式例)に基づかない事項を含んだ応募書類(社用紙)の使用
N.合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
(注1)戸籍謄(抄)本や本籍が記載された住民票(写し)を提出させることは、Aの事項の把握に該当することになります。
(注2)現住所の略図等を提出させることは、CDなどの事項を把握したり、Lの身元調査につながる可能性があります。
(注3)Nは、通常、採用選考時において合理的・客観的に必要性が認められない健康診断書を提出させることを意味します。
詳しくは下記参照先をご覧ください。
参照ホームページ[厚生労働省]
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/index.html
ご不明な点がございましたらお気軽にご相談ください。
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2014年10月21日 | カテゴリー:ニュース