◇定期健康診断の診断項目の改正
毎年1回は、労働者の皆様の健康診断を実施されていることかと思われますが、会社が労働安全衛生法上行わなければならない健康診断は、実は以下の4つの実施機会が必要となっています。
①雇い入れ時の健康診断
常時使用する労働者を雇い入れるときに実施するものです。所轄労働基準監督署への報告義務はありません。
②定期健康診断
1年以内ごとに1回実施するものです。常時50人以上の労働者を使用する事業者は報告の義務があります。
③特定業務従事者の健康診断
深夜業や坑内労働等の業務に従事する労働者に対し、6ヶ月以内ごとに1回実施するものです。常時50人以上の労働者を使用する事業者は報告の義務があります。
④海外派遣労働者の健康診断
6ヶ月以上海外に派遣する労働者に対し、派遣前及び帰国後に実施するものです。所轄労働基準監督署への報告義務はありません。
平成22年4月1日より労働安全衛生法で規定されている定期健康診断の診断項目の変更がされております。胸部X線検査については、従来、原則すべての方に実施が義務付けられていましたが、下記のとおり見直しが行われました。
40歳以上の方 →全員に実施
40歳未満の方 →以下ア~ウ以外の方で、医師が必要でないと認めるときは、省略をすることができます。
ア.5年毎の節目年齢(20歳、25歳、30歳、35歳)の方
イ.感染症法で結核に係る定期健康診断の対象とされている施設で働いている方
ウ.じん肺法で3年に1回のじん肺健康診断の対象とされている方
◇定期健康診断の検診項目
1 既往歴及び業務歴の調査
2 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
4 胸部X線検査及び喀痰検査
5 血庄の測定
6 貧血検査(赤血球数、血色素量)
7 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
8 血中脂質検査
- 高比重リポ蛋白コレステロール(HDL コレステロール)
- 低比重リポ蛋白コレステロール(LDL コレステロール)
- 血清トリグリセライド
9 血糖検査
10尿検査(尿中の糖及び蚤白の有無の検査)
11心電図検査(安静時心電図検査)
◇ 事業者の具体的な取組内容
(1)定期健康診断実施後の措置
定期健康診断の有所見者について、医師の意見を勘案し、作業の転換、労働時間の短縮等の就業上の措置を確実に実施すること。
(2)定期健康診断の結果の労働者への通知
定期健康診断結果を労働者へ確実に通知すること。
(3)定期健康診断の結果に基づく保健指導
定期健康診断の有所見者に対して、医師等による食生活等の保健指導を行い、労働者自身も保健指導等を利用して、その健康の保持に努めること。
(4)健康教育等
定期健康診断での有所見者を含む労働者に対して、栄養改善、運動等に取り組むよう健康教育、健康相談を行い、労働者自身も健康教育等を利用して、その健康の保持に努めること。
脳・心臓疾患に関する疾患は時間外・休日労働の増加に伴いリスクが増加すると考えられていますので時間外労働・休日労働が多い事業場や有給の取得率が少ない事業場は今後指導対象になる可能性が高くなりますので改善が必要になるかと思われます。労働者の皆様の健康管理も会社に課せられた義務の一つとなりますので、必ず労働者全員に受診させるようにしましょう。
『もう労務管理に悩みたくない!』とお考えの会社様は当事務所まで。
2014年8月28日 | カテゴリー:その他