ストレスチェック制度義務化の概要
労働安全衛生法の改正により、本年12月1日から、心理的な負担の程度を把握するための検査及びその結果に基づく面接指導の実施を事業者に義務付ける「ストレスチェック制度」が始まります。
法施行後は、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、毎年1回(初回は平成27年12月1日の施行後1年以内に実施)定期的に検査を実施した上で、所轄監督署に実施状況を報告することが義務となります(50人未満の事業場に関しては当分の間努力義務)。
また、ストレスチェック制度の実施についての規程を定め、円滑に実施する体制の整備並びに個人情報保護等を含めた対応について、あらかじめ労働者に周知しておく必要があります。
なお、ストレスチェックの対象となる労働者は、次のいずれの要件も満たす方をいいます(一般定期健康診断の対象者と同様です)。
①期間の定めのない労働契約により使用される方であること。
(期間の定めのある労働契約により使用される方であって、当該契約の契約期間が1年以上である方並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている方及び1年以上引き続き使用されている方を含む。)
②その方の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。
◇ストレスチェック制度の概要
ストレスチェック制度は調査票を用いて、「職場のストレス要因」、「心身のストレス反応」、「周囲のサポート」の3つの領域に関する項目により検査を行い、本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させるとともに、検査結果を集団的に分析し、職場環境の改善につなげる取組です。
メンタルヘルスケアは、取組の段階ごとに、メンタルヘルス不調となることを未然に防止する「一次予防」、メンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な対応を行う「二次予防」及びメンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰や再発予防を支援する「三次予防」に分けられます。今回のストレスチェック制度は一次予防を目的としたものとなっていますが、二次予防、三次予防も含めたメンタルヘルスケアの総合的な取組の中にストレスチェック制度を位置づけ、実施していくことが望ましいでしょう。
◇面接指導の実施
ストレスチェックの結果の通知を受けた労働者のうち、高ストレス者として「面接指導が必要」と評価された労働者から申出があったときは、医師による面接指導を行うことが事業者の義務になります。
事業者は、面接指導の結果に基づき、医師の意見を勘案し、必要があると認めるときは、就業上の措置を講じる必要があります。
◇集団分析の実施
ストレスチェック結果の集団ごとの集計・分析及びその結果を踏まえた必要な措置は、努力義務となっていますが、事業者は職場環境におけるストレスの有無及びその原因を把握し、必要に応じて、職場環境を改善していくことが望まれます。
本制度の実施にあたっては、労働者の意に反する人事上、その他の不利益な取扱いの防止や機微情報の取り扱いなど、慎重さが求められます。
情報へのアクセス権者を明確にして、リスクをいかに排除するかという点も考慮しながら、準備をしていくことが肝要です。
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2015年5月31日 | カテゴリー:労務管理