Q 会社は業務命令として、部署異動や転勤を自由に命じることはできますか?
【ポイント】
業務上の必要性があれば認められます。
【説明】
判例では、「労働契約は、労働者がその労働力の使用を包括的に使用者に委ねることを内容とするものであり、個々の具体的労働を直接約定するものではないから、使用者は労働者が給付すべき労働の種類、態様、場所等について、これを決定する権限を有するものであり、したがって使用者が業務上の必要から労働者に配置転換なり、転勤を命ずることは原則として許される」とされています。
しかしながら、よりこの会社の権限を明確にするには、就業規則や個別の誓約書・念書で「会社は業務上の都合により従業員に対し、配置転換、転勤を命ずることがあり、従業員は正当な理由の無い限り、当該業務命令を拒むことはできない」という趣旨の規程を設けておくべきです。
逆に言えば、ある職種やある地域に限定した勤務をさせる場合、職種や地域の「限定的特約」を付加することで可能となります。
例えば、「勤務地は東京本社とし、他の支社への異動はありません」などです。なお、労働条件通知書に記載する「就業の場所」は、労働契約直後の就業場所を定めたに過ぎませんので、「限定的特約」ではありません。
労働契約法第3条5項では、「労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。」としていますので、権利濫用とならないよう注意が必要です。
2016年2月21日 | カテゴリー:雇用のコマッタ!Q&A